「cd Documents って打ったら『そんなディレクトリはない』って言われた…」
このエラー、実はパスの指定ミスが原因であることがほとんどです。この記事では、Linuxを使う上で必須の概念「パス(Path)」を完全解説します。絶対パスと相対パスの違いを理解すれば、ファイル操作が格段にスムーズになります。
ファイルシステムの基本がまだの方は「Linuxのファイルシステム構造を理解する」を先にご覧ください。
パスとは? 「ファイルの住所」のこと
まず pwd(print working directory)コマンドで自分が今どこにいるか確認する習慣をつけましょう。パスを理解する第一歩です。
$ pwd
/home/user # ← 今ここにいる、という「住所」がパス
パス(Path)とは、ファイルやディレクトリの場所を示す「住所」のことです。Linuxでは、すべてのファイルが /(ルートディレクトリ)を頂点としたツリー構造で管理されています。パスはその構造の中での位置を表します。
現実世界に例えると、「日本>大阪府>大阪市>北区>〇〇ビル3階」のように階層で場所を表すのと同じです。Linuxでは /home/user/documents/report.txt のように / で区切って階層を表現します。

絶対パスとは?
絶対パスとは、ルートディレクトリ(/)から始まる完全なパスです。どの場所にいても、必ず同じファイルを指します。
# 絶対パスの例
/home/user/documents/report.txt
/etc/nginx/nginx.conf
/var/log/syslog
絶対パスの特徴
- 必ず
/から始まる - 現在の場所(カレントディレクトリ)に関係なく、常に同じ場所を指す
- 長くなりがちだが、迷いがない
- スクリプトや設定ファイルに書く場合は絶対パス推奨
# どこにいても同じファイルにアクセスできる
$ cat /home/user/documents/report.txt
相対パスとは?
相対パスとは、現在いるディレクトリ(カレントディレクトリ)を起点としたパスです。今どこにいるかによって、同じパス表記でも指す場所が変わります。
# 現在 /home/user にいる場合
$ cd documents # /home/user/documents に移動
$ cat documents/report.txt # /home/user/documents/report.txt を参照
相対パスの特徴
/から始まらない(./や../で始まることが多い)- 短く書けるので日常的な作業に便利
- カレントディレクトリが変わると意味も変わる
特殊な記号:.(ドット)、..(ドットドット)、~(チルダ)
相対パスでよく使う3つの特殊記号を覚えておきましょう。これらを使いこなすと、コマンド入力がグッと効率的になります。

# .(ドット):現在のディレクトリ
$ ./script.sh # 今いるフォルダのscript.shを実行
# ..(ドットドット):一つ上のディレクトリ
$ cd .. # 一つ上へ移動
$ cd ../../etc # 二つ上に戻ってetcへ移動
# ~(チルダ):ホームディレクトリへのショートカット
$ cd ~ # どこからでもホームへ一発帰還
$ ls ~/documents # ホームのdocumentsを参照
# ※ ~ はシェル展開(tilde expansion)により
# /home/username のような絶対パスに変換されます
# 厳密には絶対パスに展開されるショートカットです
もう一つ覚えておくと便利なのが cd -(ハイフン)です。
# cd -:直前にいたディレクトリへ戻る
$ cd /var/log
$ cd /etc/nginx
$ cd - # /var/log へ戻る
# 2つのディレクトリを行き来するときに便利
絶対パス vs 相対パス 使い分け
| 場面 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| シェルスクリプトや設定ファイル | 絶対パス | 実行場所に依存しないため安全 |
| ターミナルでの日常作業 | 相対パス | 短く入力でき効率的 |
| ホームディレクトリ以下 | ~ を活用 | どこからでも確実にアクセス |
| 初心者のうち | 絶対パス | 迷いが少なく確実 |
よくあるエラーと解決法
「No such file or directory」が出たら
パスの指定ミスが原因のほとんどです。以下を確認しましょう:
pwdで今どこにいるか確認するlsで存在するファイル・フォルダを確認する- 大文字・小文字を確認する(
Documentsとdocumentsは別物) - スペースが含まれる場合は
"で囲む(例:cd "my folder")
$ pwd
/home/user
$ ls
documents downloads pictures
$ cd Documents # エラー!(大文字D)
-bash: cd: Documents: No such file or directory
$ cd documents # 正しい(小文字d)
$ pwd
/home/user/documents
まとめ:この記事で学んだこと
- パスとはファイルの「住所」。
/で区切って階層を表す - 絶対パス:
/から始まる完全な住所。どこからでも同じ場所を指す - 相対パス:今いる場所からの道順。短く書けて便利
.(今いる場所)..(一つ上)~(ホーム)の3記号を覚えておこう- 迷ったらまず
pwdで現在地確認!
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